Ghost I met

2013 年

多色織(EPOTEX)

330 x 385 cm (2点組)、各パネルサイズ 330 x 190cm
制作協力:川島織物セルコン

展覧会

Ghost – Suspended OrgansKünstlerhaus Bethanien (ベルリン、ドイツ) 2013

Ghost – Suspended OrgansMikiko Sato Gallery(ハンブルク、ドイツ)2013

STOFF Summlung Textile SkulpturenKreissparkasse(ロットヴァイル、ドイツ)2013

RewovenGalerie Michael Janssen(ベルリン、ドイツ)2013

「アーティストファイル 2015 隣の部屋」 国立新美術館(東京)2015

Artist File 2015 Next Doors」韓国国立現代美術館(ソウル、韓国)2015-16

Ghost I met

Layer description

図案モチーフ

左パネル(日本)

背景
花樹獅子人物文白橡綾、上代裂、(正倉院蔵、日本、8世紀)
Stand cover, silk with patterns of flowering trees, loins and human figures (Shōsō-in temple, Japan, 8C)

天寿国繍帳 (刺繍、中宮時蔵、日本、7世紀)
Embroidery on silk, Tenjukoku (Heavenly Paradise) scene (Chūgū-ji temple, Japan, 7C)

紺地花樹双鳥文きょうけち(染物、正倉院蔵、日本8世紀)

(紺地花樹双鳥文 夾纈施几褥 こんじかじゅそうちょうもん きょうけちあしぎぬのつくえのじょく)
Stand cover, silk with kyokechi-dyed designs of flowering trees and paired-birds (Shōsō-in temple, Japan, 8C)

四騎獅子狩文錦(法隆寺蔵、日本、7世紀)
Nishiki (brocade) with archers chasing lions (Hōryū-ji temple, Japan, 7C)

幽霊 部分

水月観音半跏像(東慶寺蔵、日本、鎌倉時代、13世紀)
Suigetsu-Kannon (Buddha statue) (Tōkei-ji temple, Japan, 13C)

着物(舞子)(日本、20世紀)
Kimono of Maiko which is a dancing girl and apprentice geisha (Japan, 20C)

着物(日本、大正時代、1912-1926年)
Kimono (Japan,  Taishō era; 1912-1926)

狂言装束(日本、20世紀)
Kyōgen (traditional Japanese comic theater) costume (Japan, 20C)

能装束(日本、20世紀)
Noh (classical Japanese musical drama) costume (Japan, 20C)

(花魁(着物)(日本、江戸時代、1600-1867年)
Oiran (courtesan) costume (Japan, Edo era; 1600-1867)

女性用たっつけ(野良着)(日本、19世紀)
Farmer’s trousers (Japan, 19C)

繍線鞋(日本、8世紀)
Silk shoes with nishiki (brocade), and silk embroidered flowers (Shōsō-in temple, Japan, 8C)

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右パネル(ヨーロッパ)

背景

袖付貫頭衣(エジプト、コプト後期、7世紀)
Tunic, Coptic textile (Egypt, 7C)

袖付貫頭衣の飾り(エジプト、コプト後期、910世紀)
Tunic with flower ornaments, Coptic textile (Egypt, 9-10C)

エデンの園の中のアダムとイヴ、ゴブラン織(イギリス、17世紀)
Adam and Eve in the Garden of Eden with Virtues, Gobelin (England, 17C)

デイビッドとバスシェバ、ゴブラン織(イギリス、17世紀)
David and Bathsheba, Gobelin (England, 17C)

モーセの発見、刺繍(イギリス、17世紀)
The Finding of Moses, embroidery (England, 17C)

ボーダー ボビンレース(イタリア、17世紀)
Border bobbin lace (Italy, 17C)

ダロウの書、渦巻文様のカーペット頁(アイルランド、7世紀)
Book of Durrow, carpet page, Celtic pattern (Ireland, 7C)

幽霊 部分

ルイ 14 世の肖像、イアサント・リゴー(ルーブル美術館蔵、フランス、1701 年)
Louis XIV, Hyacinthe Rigaud (France, 1701)

幼いディオニュソスを抱くヘルメス、プラクシテレス(古代ギリシャ、年代不詳)
Hermes and the Infant Dionysus, Praxiteles (ancient Greece, Unknown)

両替商とその妻 マリヌス・ファン・レイメルスワール(プラド美術館蔵、スペイン、1539年)
The moneychanger and his wife, Marinus van Reymerswaele (Spain, 1539)

聖テレジアの法悦、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(イタリア、1647-1652年)
Ecstasy of Saint Teresa, Gian Lorenzo Bernini (Italy, 1647-1652)

ワンピース、西洋市場のためのおそらくインド製(1800年)
Dress, muslin with silk embroidery (probably India for the Western market, 1800)

ワンピース(フランス、1775年)
Dress, silk with warp-and weft-float patterning (France, 1775)

テニス用ワンピース(イギリス、1885年)
Tennis dress, cotton (England, 1885)

左パネルのモチーフは全て日本の造形物から集められ、一方、右パネルのそれはヨーロッパ大陸から集められています。日本のものは、古代の刺繍から仏像、染物、着物や能装束、普段着などから集められました。ヨーロッパ大陸のものは、古代エジプトのコプトの衣服、ギリシャ彫刻、17世紀の油彩の絵画、イギリスの刺繍、イタリアの彫刻、18~19世紀の女性のドレスなどです。日本のものとヨーロッパのもの、特に装飾は、一見異なるものに見えても、よく見ていくと驚くほどの相似性があります。おそらく、シルクロードやその他の道を通り日本に伝わったためでしょう。これらのモチーフはその相似性を意識して集められました。

これらたくさんのモチーフは何層にも重ねられていますが、ところどころが意図的にくり抜かれているために、最下層から表面までを貫通して見ることが出来るようになっています。

左パネルと右パネルを横断するように、半透明の大きな「幽霊」が中央に鎮座し、その体は中心で引き裂かれています。おそらくこの「幽霊」は私自身でしょう。この作品を作った当時、私は日本とヨーロッパ文化の違いに直面していました。しかし同時に、私は「純粋な」日本というものを知らない、とも思っていました。私が生まれた日本は不運にも、すでにヨーロッパあるいはアメリカに十分に影響を受けたものになっていました。このことから私は、様々な層の間で彷徨う、半透明の幽霊を作ろうと思いました。

Photo by

Lepkowski Studios, Berlin / Ute Klein / Kai Magnusson