織り直し

2005年

解体された二種類の織物,平織り,絵画用木枠

241 x 194 cm155 x 300cmの織物二枚,194 x 130cmの木枠)

VOCA2005 佳作賞(上野の森美術館)

展覧会

VOCA展」上野の森美術館(東京)2005

手塚愛子 展 糸の浮橋 織のきざはしINAX ギャラリー2(東京)2005

the New Contemporaries」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)(京都)2012

Certainty / Entropy Mikiko Sato Gallery(ハンブルグ/ドイツ)2014

コレクション

ハンブルグ美術工芸博物館蔵

この作品の中央部分は、二種類の既製品の織物を解いて得られた糸を使って、一本一本手で織り直された織物です。私が美術大学の油絵科の学生だった時、何をしても西洋の模倣に思えてしまうところがあり、「私自身のキャンバスはどんなものなのだろう」という疑問がありました。日本の急激な近代化は、19世紀半ばに日本が一国家として世界に開港したことから始まりますが、いつしか私たち日本人は、常に西洋文化を模倣してきた劣等感と、思い出すことが出来ない前近代的な日本に対する郷愁を持っているように思います。日本の急激な近代化は、私たちの生活様式の多くを変えてしまったし、また、「アート」「美術」(ひいては「美術大学」)という考え方も一緒に輸入されてきました。そうして私は、自分たちのオリジナルなキャンバス(「アート」の土台)というものは存在しない、ということに気づきました。けれども一方で、その混血状態のなかでも、まだ誰も見たことのない新しいものを作ることは可能かもしれない、とも考えました。そしてその「新しいもの」は、純粋にオリジナルである必要もないかもしれない、とも。何故なら、世界中の文化は常に混ざり合いながら変遷を遂げてきたからです。よく思い出せない私の祖先たちの前近代的な記憶とその断絶、西洋との混血状態を受け入れざるを得ない場所から、今まで見たこともないものを作りたいと思います。

この作品は絵画のコンペティションである「VOCA」展(2005年)に出品されました。絵画のコンペティションであるけれども、与えられたキャンバスを自明のものとして絵を描くことが出来なかった私は、この作品を提出しました。不定形だが力強く織り直された布が、絵画用の木枠の上に立ち上がっているのか、ずり落ちているのか。そのような作品を作りました。

織り直し

Photo by

来田猛