Mutterkuchen – 01

2018

Embroidery and a knitted basket with unravelled readymade fabric, wooden frame

155 x 70 cm (frame size 55 x 42 cm)

Exhibited at

Group show (featuring three artists), MA2 Gallery, Tokyo (2018)

Solo show “Flowery Obscurity”, MA2 Gallery, Tokyo, Japan (2019)

(JP) この作品を作るきっかけになったのは、ドイツの滞在許可(ビザ)を取るために2-3年ごとに行かなければならない外国人局での体験です。外国人局の職員の大多数はドイツ人ですが、「良い担当者に当たるかどうか」は私たち移民の間では毎回ちょっとしたトピックです。もしも「悪い担当者」に当たった場合、ドアを開いて部屋に入った瞬間に彼らから私たちに向けられる視線や、ぶっきらぼうな言い方での質問などで、彼らが私を見下しているのがすぐに分かります。私はドイツのビザを取りに来ているわけですから、そこでは行儀良く振舞います。けれど同時に心の中では、「あなたがドイツに生まれたのは、あなたが選んだことでしょうか」という問いが生まれます。
当然のことながら、国籍を選んで生まれてきた人はこの世に誰一人いないはずなのですが、その「当然のこと」が社会に浸透することは難しく、国籍によって人を差別することは根強く、現実的に存在しています。私は自分自身が移民としてドイツで生活するなかで、差別を受ける側の経験を何度もしましたが、心が傷つくと共に、自分にも誰かを差別する視線がないとは言えないことも含め、この課題は非常に現代的な問題をはらんでいると考えるようになりました。
作品の構造的には、織物を解いた糸を再び束に分けて、その束で籠を編んでいます。自らの体が解体し、それが再び構造体になり、流れ出す体液を受け止めるような構造を、それら全てが繋がる形で作りたいと思いました。解かれた糸の一部によって、「あなたに帰る場所はありますか、もしそうなら、それは偶然?それとも必然?」という文字列が刺繍されています。解かれた体の一部が、再び自身の体に聞き返すように。

Mutterkuchen – 01

Photo by

Aiko Tezuka