この作品は「貴婦人と一角獣」という1500年頃に作られたタペストリーの中の「我が唯一の望み」と、「ユニコーンの発見」という二つの織物を引用しています。織物に空けられたいくつもの穴によって、全体像を掴もうとしてもよく見えませんーそれは何かを思い出そうとしてもよく思い出せない時のように。フクシマから4年経ち、私は「忘却」の必要性について考えていました。歴史を覚えておくことはもちろん後世のために必要不可欠なことですが、しかし一方で、何も忘れることなく隅々まで全てを覚えていたとしたら、それはそれで生きていくことが困難なのかもしれない、というようなことを考えていました。
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椎木静寧、キ スルギ