1880年代後半、ハワイでは砂糖の生産と供給が求められていた。主に沖縄出身者をはじめとする貧しい日本人移民労働者たちは、高額のお金が稼げるからと半ば騙されてハワイに渡った。彼の地の砂糖プランテーションで奴隷のように働かされた彼らが再び日本に帰ることはなかった。チューリッヒ大学の Martin Dusinberre 教授を通して、Eduard Arning Collection から提供された彼らの写真を機械刺繍し、美術館のガラス窓に展示した。半透明のオーガンジーの向こうには、チューリッヒの湖で余暇を楽しむ人々が透けて見える。余暇もなく働き現在では忘れ去られた人々と、今ここで余暇を楽しむ富裕層の姿が目の前で重なる。
移民労働者の写真の他には、“Home Sweet Home”, “Bitterness”, “Do you remember me? – I was about to forget.” の文字列とともに、日本、沖縄、ハワイのそれぞれの伝統的文様の機械刺繍を付け加えた。
Photo by
Carla Peca(ヨハン・ヤコブス美術館、チューリッヒ)、根来美和、三上真理子