図案モチーフ
紺地花樹双鳥文きょうけち(染物、正倉院蔵、日本、8世紀)
Stand cover, silk with kyokechi-dyed designs of flowering trees and paired-birds, Shōsō-in temple (Japan, 8C)
更紗文様(インド、18世紀)
Calico pattern (India,18C)
「聖テレジアの法悦」ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(イタリア、1647-1652年)
Ecstasy of Saint Teresa, Baroque sculpture, Gian Lorenzo Bernini (Italy, 1647-1652)
「幼いディオニュソスを抱くヘルメス」プラクシテレス(古代ギリシャ、年代不詳)
Hermes and the Infant Dionysus, Praxiteles (ancient Greece, Unknown)
菩薩半跏像(中宮寺蔵、日本、飛鳥時代、7ー8世紀)
Miroku Bosatsu, Buddha statue, Chūgū-ji temple (Japan, 7-8C)
水月観音半跏像(東慶寺蔵、日本、鎌倉時代、13世紀)
Suigetsu-Kannon, Buddha statue, Tōkei-ji temple (Japan, 13C)
亀甲花菱文箔打掛(高台寺蔵、日本、16世紀)
“Uchikake” outer garment featuring hexagonal and diamond patterns created in embroidery and pressed gold leaf, (Kōdai-ji temple, Japan, 16C)
壁紙文様(フランス、19世紀)
Wallpaper pattern (France, 19C)
グアテマラの衣服、襟部分(グアテマラ、年代不詳)
Collar part of local clothes (Guatemala, Unknown)
袖付貫頭衣の飾り(エジプト、コプト後期、9–10世紀)
Tunic with flower ornaments, Coptic textile (Egypt, 9-10C)
袖付貫頭衣(エジプト、コプト後期、8世紀)
Tunic, Coptic textile (Egypt, 8C)
「1662年の奉納画」フィリップ・ド・シャンパーニュ(Ex-Voto de 1662、バロック絵画、フランス、1662年)
Ex-Voto de 1662, Baroque painting, Philippe de Champaigne (France, 1662)
「ロザリオの聖母」ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(Madonna of the Rosary、バロック絵画、イタリア、1607年)
Madonna of the Rosary, Baroque painting, Michelangelo Merisi da Caravaggio (Italy, 1607)
織り途中の織物が掛かっている機織り機ーその前に立った人は、誰もが「織り手」となるような機織り機を、美術館に持ち込みたいと思いました。この作品の上部は、織物の縦糸が織られることなくそのまま残っています。織物の装飾のモチーフは、仏像、古代ギリシャ彫刻、バロック彫刻、名作絵画、古代日本の織物の文様、古代エジプトのコプトの文様、現代の壁紙の文様など、過去と現代の様々な産物が引用されていますが、これらのモチーフは「でたらめであること」を目的に集められ、編集されました。例えば、古代ギリシャ彫刻の上に、古代日本の織物の文様が刺青のように貼り付けてあります。もしも誰かが、「こんなのでたらめじゃないか、歴史に沿っていない」と言ったとしたら、「それこそが私の目的、では、でたらめじゃないこととはなんだろう?」と思うのです。装飾や文様についてのたくさんの本を読みましたが、それらはどれも、各時代区分や一つ一つの文様の意味は説明してくれますが、「なぜそのようなものを作らなければいけなかったのだろう?」という私の問いに答えてくれるものはありませんでした。「なぜそのようなものを作らなければならなかったのか」という問いの中心だけが、「でたらめ」ではないものであるような気がします。美術館に来た人たちがこの作品(機織り機)の前に立った時、「さて、これから何を織りましょう」という、彼らに対する私の問いが成立します。