4メートル近い白い糸が、クラシックな色調の織物から引き出されていて、それはまるで清水のように見えます。観者は、床に敷かれている部分の布に、色が変わっている部分を見つけるでしょう。その境界線は、白い糸が入っている部分と入っていない部分です。布の端から、針を使って一本一本白い糸だけを引き抜き、楕円形パネルの上の線で止めています。この白い糸が未だ元の織物と繋がっていることが私には重要です。何故なら、どちらがオリジナルでどちらが帰属するものなのか、良くわからないような状況を作り出したかったからです。元の織物と引き出された白い糸は、それぞれ独立したもののように見えますが、未だ大本は繋がっていることを見せています。
Photo by
福永一夫