




1920年代ドイツで制作されたテーブルクロスを解いた糸で布に刺繍、鉄製のトレイ
H.224 x W.228 x D.40 cm
「Ghost – Suspended Organs」展 クンストラーハウスベタニエン(ベルリン、ドイツ)2013年
Mikiko Sato Gallery(ハンブルク、ドイツ)2013年
「想像しなおし」展 福岡市美術館 2013年
「アーティストファイル2015 隣の部屋」展 国立新美術館(東京)2015年
1920年代のドイツで製作されたテーブルクロスを解き、そこから得られた糸で心臓の形を刺繍しています。その心臓は、古い鉄製のお盆の上に乗せられています。フクシマ以降、私たちが口に入れるものはコントロールされていて実は自分達で選ぶことが出来ないことに気づき、そしてその後に、私たちの身体や生命は常に何か大きなものに宙吊りにされている、という感覚に襲われました。
この布はもう100年近くも経っているものですから、シミやヤケなどがいくつもあり、その見た目は決して綺麗なものではありません。私がこの時代に興味を持ったのは、ベルリンの日曜日の蚤の市を歩いていた時のことでした。その織物の質の高さに惹きつけられたのです。そのうち、私はそのような布を見つける度に、どのくらい古いものなのかと店員に尋ねるようになりました。最初は大体100歳くらい、と言われてもあまり信用しなかったのですが、そのうちに、どの店も同じことを答える、つまり100歳か、1910~1930年代くらいのもの、という答が返ってくることに気づき、これはもしかしたら信用出来るかもしれない、さらに、それはナチスドイツの台頭の直前の時代ということに気づきました。ナチスの前と後では、布製品の質の違いは明らかなものであるように思えました。そのことがあってから、何かに惹きつけられるように私はこの時代の布製品を集めだし、作品を作っています。